2021/07/05 女子だけの
古本屋から外に出なければいけない。
しかし商品が所狭しと積まれているため、ブロック状になった全巻セットのマンガ本を踏んで乗り越え、窓の外に出ないといけない。
本を踏むのは嫌だけれど、仕方がない。
窓の外に出ると、地下街だった。
トイレに行きたくなったので、案内板を探す。青と赤のトイレマークを見つけるが、色と形があっていない。デザイン性の高い標示かもしれない、と目を凝らして見るが、どちらが何を示しているのかまったくわからない。
入って確認しようと、中を覗き込んだらセックスしてる女性が数組いた。仕切りも何もない、コンクリート打ちっぱなしの場所で寝転がっている。
治安が悪い、というより「そういう場所」として造られているようだった。
用を足せる場所はないのだろうか、と右を見ると列整理の人がいた。
「ココはトイレですか?」
「入って入って」と促されてホッとした。小さなドアを開け、間仕切りを進むと薄暗いコンクリの床。
個室になっているであろうカーテンをまくると、中に入っている女性が困惑したようにこちらを見る。慌てて足元に目をやるが便器はなく、パイプ椅子が向かい合わせに置いてあるだけだった。
列整理の人が話すにには、ここは女の子同士の秘密を安心して話せる場所らしい。さっき見かけたセックスとか、ああいうことについて憧れたり、いやだったり、いろんな気持ちや思いをこっそり話せる場所なんだよ、と説明される。
必要な場所だな、とは思う。けど、トイレをわかりやすく案内してくれないのはなぜだろうと、少し腹が立った。